三十槌の氷柱へアプローチする唯一の幹線道路である国道140号は、秩父市街地から山梨方面へと抜ける山岳道路です。秩父市街地までは積雪がなくても、皆野寄居有料道路を抜けて影森・三峰口を過ぎたあたりから急激に気温が低下します。特に標高が上がる「大滝エリア」に入ると、空気の冷たさが肌に突き刺さるほど一変します。
ドライバーが最も警戒すべきは、アスファルトが濡れているように見えて実は一面が凍りついている「ブラックアイスバーン」です。荒川沿いを縫うように走る国道140号は、切り立った崖や鬱蒼とした山林に囲まれているため、昼間でも日光がほとんど当たらない「終日日陰区間」が連続します。日中にわずかに解けた雪解け水や川からの湿気が、夕方の冷え込みとともに再びガラスのように滑らかな氷膜へと変化するのです。
橋梁部(大滝橋など)やトンネルの出入口付近、急カーブの手前は特に凍結が発生しやすい難所です。「ブレーキを踏んだ瞬間にスピンして制御不能になった」「緩やかな下り坂でABSが作動し続け全く止まらなかった」という現場の声が毎冬のように報告されています。荒川の谷底に転落しかねない危険箇所も点在するため、路面状態を甘く見ることは命取りになります。