ネット上のレシピ掲示板やSNSでは、「唐揚げのタレには片栗粉で強烈なとろみをつければ美味しくなる」という言説が散見されます。しかし、ここに大きな落とし穴が存在します。
過剰なとろみは、冷めるにつれてゲル化が進み、油を吸った衣と一体化して団子状の重たい食感を作り出してしまいます。タレにとろみをつける目的は、あくまで「唐揚げの表面に適度な膜を作り、白米へタレが全量落下するのを防ぐ」ことにあります。水溶き片栗粉を使用する場合は、1人前に対して耳かき1〜2杯程度の微量に留め、サラサラ感と絡みやすさの境界線(スープよりわずかに粘る程度)を狙うのが鉄則です。
また、「市販の唐揚げに味が付いているからタレは薄味にするべき」という意見も一面的です。丼物は、水分を含んだ白米と一緒に口内に運ばれるため、タレ自体は「単体で舐めると少し濃い・甘辛さが際立つ」レベルの塩分濃度に設定しなければ、口中調味の段階で味がぼやけてしまいます。この塩梅を見誤らないことが、家庭の丼を専門店の味へと引き上げる境界線となります。