ガストのモーニングメニュー一覧を見て「自分の知っている価格と違う」と疑問を抱く最大の原因は、すかいらーくホールディングスが本格導入した地域別価格(ロケーション別価格体系)にあります。かつてのファミリーレストランは全国一律価格が常識でしたが、現在のガストでは全国の店舗を立地条件に応じて細かくランク分けしています。
具体的には、東京23区内や主要ターミナル駅周辺などの「超都心店」、政令指定都市の中心部にあたる「都心店」、幹線道路沿いなどの「郊外店」、そして家賃や人件費が比較的抑えられる「地方店」という複数の価格帯が存在します。東洋経済オンラインの取材記事でも「ガストの『950円モーニング』と値上げに驚いた朝」として報じられた通り、よりどりバランス朝定食やアボカドシュリンプサラダセットなどの上位メニューは、超都心店舗では900円〜950円前後に達し、ワンコインで朝食が食べられた時代の記憶を持つ都市部の利用者に強い衝撃を与えました。
このモーニング値上げと地域別価格の背景には、深刻なインフレと店舗運営コストの地域間格差があります。都心部の店舗では最低賃金の上昇幅が大きく、テナント賃料も地方の何倍にも膨れ上がります。さらに鶏卵価格の高騰(エッグショック)やコーヒー豆、小麦粉、油脂類の輸入コスト上昇が直撃し、全国一律の低価格を維持すれば都心店が赤字に陥り、逆に都心基準に合わせれば地方店の客離れを招くというジレンマが生じたのです。こうした構造的要因から、店舗ごとの実情に合わせた柔軟な価格設定へと舵が切られました。