なぜ、鼻の中に黄色ブドウ球菌が感染してしまうのでしょうか。実際の耳鼻咽喉科の臨床現場において、患者の行動歴から浮かび上がる最大の原因は鼻毛の自己処理です。
特に危険なのが、毛抜きを使用した「引き抜き」行為です。鼻毛を毛根から力任せに引き抜くと、毛根を包む毛包組織が物理的に引きちぎられ、微小な出血を伴う傷口が剥き出しになります。鼻腔内は外気を取り込むフィルターであるため、常に大量の細菌やウイルスが付着しています。バリアが破れた組織に黄色ブドウ球菌が付着すれば、数時間から数日で急激な化膿が進行します。
また、ブラジリアンワックスを用いた鼻毛脱毛も、広範囲の表皮剥離を招くため極めて高い感染リスクを伴います。加えて、花粉症や風邪に伴う頻繁な鼻かみ、無意識に鼻をほじる癖、乾燥した室内環境による粘膜のひび割れも主要なトリガーです。「清潔に保とうとして鼻をいじりすぎた結果、かえって感染症を招く」という皮肉な実態が浮き彫りになっています。