ネット上やSNSで長年根強く囁かれていたのが、「本田圭佑の目の異変はレーシック手術の後遺症ではないか」という言説です。本田選手が2012年6月に視力回復のためのレーシック手術を受けたことを公表していたため、その後に生じた目つきの変化や視線の違和感が、短絡的にレーシックの失敗と結びつけられてしまった背景があります。
しかし、眼科専門医や甲状腺疾患の専門家による医学的見解は全く異なります。レーシック手術が角膜の屈折異常を矯正する手術であるのに対し、本田選手に見られた「まぶたの引き攣れ(眼瞼後退)」や「眼球が前方に突き出る現象」は、典型的な甲状腺眼症(バセドウ病眼症)の症状です。
バセドウ病を引き起こす自己抗体は、甲状腺だけでなく眼球の奥にある筋肉(外眼筋)や脂肪組織にも炎症を引き起こします。これにより組織が腫れ上がり、物理的に目が押し出されるため、目つきが鋭くなったように見えたり、まぶたが閉じにくくなったりするのです。レーシックの合併症として眼球突出が起きることは医学的にあり得ず、二つの異なる医療行為と病態が混同されて拡散した結果が「レーシック失敗説」の正体でした。