ボロネーゼの正式名称は「ラグー・アッラ・ボロニェーゼ」(ボローニャ風の煮込み料理)。イタリア北部の美食の都、エミリア=ロマーニャ州のボローニャ地方で生まれました。現地においてこの料理は「トマトパスタ」ではなく、あくまで「肉料理」として位置づけられています。
調理のベースとなるのは、玉ねぎ、セロリ、にんじんをみじん切りにしてじっくり炒めた「ソフリット」です。そこに粗挽きの牛肉(あるいは刻んだパンチェッタ)を加え、しっかりとした焼き色をつけてメイラード反応を引き出します。水分にはたっぷりの赤ワインを使い、トマトはペーストなどを肉の旨味を引き立てる補助として少量加えるに留めます。仕上げに牛乳を加えて肉を柔らかく煮込むのが、イタリア料理アカデミーにも登録されている由緒正しい伝統レシピです。
このように素材の水分と赤ワインで煮詰めた重厚なソースは、丸麺のスパゲッティでは絡みきりません。そのため現地では、卵を練り込んだ幅広の平打ち麺「タリアテッレ」を合わせ、フライパンの中でソースと麺を完全に一体化させてから皿に盛り付けるのが鉄則とされています。