ネット上の掲示板で定期的に盛り上がる「三菱商事の暴落説」には、単なる感情論にとどまらない、同社の事業構造に起因する構造的リスクが根底に存在します。投資家が最も懸念している要素は、大きく分けて以下の2点です。
第一に、資源セグメントへの利益依存度です。三菱商事は総合商社の中でもオーストラリアの原料炭事業(MDP)や銅、液化天然ガス(LNG)など、上流の資源開発・生産に莫大な投資を行ってきました。これらは資源価格が高騰する局面では莫大なキャッシュフローを生み出す原動力となりますが、市況が反転してエネルギー・金属価格が下落すると、一転して利益を大きく押し下げる要因となります。掲示板で「資源バブルの終焉」「減益への転落」と騒がれる背景には、過去の資源ショック時に多額の減損損失を計上したトラウマが今なお個人投資家の記憶に焼き付いている点が挙げられます。
第二に、世界景気の減速、とりわけ中国市場の停滞リスクです。世界最大のコモディティ消費国である中国の不動産不況や景気後退は、鉄鉱石や原料炭、基礎化学品の需要に直結します。中国の製造業景況感指数(PMI)が悪化するニュースが流れるたびに、相場全体の地合い悪化と相まって「総合商社株は真っ先に売られる」という警戒感が先行し、実態以上の売り圧力を呼び込む悪循環が生じやすくなっています。