葉が元気に茂っているにもかかわらずレモンの実がつかない場合、樹勢が強すぎる「栄養生長」に偏り、子孫を残すための「生殖生長」へのスイッチが入っていない状態が疑われます。植物は枝葉を強く切り戻されると、失った光合成組織を急いで回復させようとして新しい枝(徒長枝)を爆発的に伸ばします。この回復作業に莫大な養分が奪われ、花芽を分化させるエネルギーが枯渇してしまうのです。
家庭園芸で最も頻発している失敗は、前年の春に伸びた短い枝(春枝)の先端を切り落としてしまうことです。レモンは基本的に、春に発生して充実した枝の先端付近に、翌年の花芽を作ります。樹形を丸く整えようと外周を刈り込むように切り揃えてしまうと、翌春に咲くはずだった花芽を自らの手ですべて刈り取る結果になります。
さらに、窒素肥料の過多が重なると枝葉ばかりが旺盛に茂り、樹冠の内部に光が届かなくなります。日照不足に陥った内部の短い枝は次々と枯れ込み、結果として「外側だけ葉が青々と茂り、花も実も全くつかない木」が完成してしまいます。実をならせる剪定とは、枝を短く詰めることではなく、不要な枝を根元から外して懐まで日光を届ける作業だと認識を改める必要があります。