自動車評論家の寄稿記事が新車の広報資料のようになりがちな中、清水草一氏のコラムは常に「買い手の生々しい欲望と財布事情」に焦点を当てています。その象徴ともいえるのが、webCGで隔週連載されている『カーマニア人間国宝への道』や、自動車文化の行く末を独自の視点で切り取る『自動車ラスト・ロマン』などの連載群です。
2026年に入り、同連載は330回から340回の大台へと突入しました。電動化(EVシフト)の波や中古車相場の異常な高騰に直面する日本の車好きたちの葛藤を、絶妙なタイトルワークと軽妙な語り口で活写しています。直近の注目回を時系列で整理すると、現代のカーマニアが抱えるリアルなテーマが浮き彫りになります。
| 公開日(2026年) | 連載回・タイトル(webCG) | 主なテーマと批評の切り口 |
|---|---|---|
| 2026年5月11日 | 第335回:水平尾翼が効いてるのかな | エアロパーツや造形美がもたらすプラシーボ効果と、運転感覚の相関性を分析 |
| 2026年6月8日 | 第337回:「ルーチェ」に比べればタダ同然 | 過去の高級車や維持費地獄の記憶を引き合いに出す、カーマニア特有の金銭感覚の麻痺 |
| 2026年7月20日 | 第340回:一にエンジン、二にカッコ | 数値や先進安全装備ではなく、内燃機関の鼓動とスタイリングこそが趣味車の核心であるという提言 |
| 2026年8月17日 | 第342回:どうしてこんなに高いんですか | 国産ネオクラシックカーや中古スポーツカーの価格高騰に対する直球の疑問と市場解剖 |
| 2026年8月31日 | 第343回:おやじ、涅槃で待つ | ベテラン車好きたちが直面する加齢・上がりクルマ問題と、煩悩を手放せない人間模様 |
とりわけ2026年7月20日公開の第340回「一にエンジン、二にカッコ」や、8月17日公開の第342回「どうしてこんなに高いんですか」は、現在の自動車市場に対する痛烈なアンチテーゼとなっています。環境規制によって失われゆく純ガソリンエンジンの魅力を再定義しつつ、庶民の手から遠ざかるスポーツカー相場に対して「読者が一番言いたかった本音」を代弁する構成は、長年培われた編集センスの賜物です。