世界中の人々が抱くピーター・パンのパブリックイメージは、1953年に公開されたウォルト・ディズニーのアニメーション映画によって形作られました。そこでは妖精の粉で空を飛び、インディアンや人魚と戯れ、間抜けな海賊を退治する陽気な冒険活劇として描かれています。しかし、1911年に出版されたJ.M.バリーの原作小説『ピーター・パンとウェンディ』は、子どもの純粋さが孕む「無慈悲さ」を生々しく描写した極めてダークな文学作品です。
| 比較項目 | ディズニー映画版(1953年) | J.M.バリー原作小説(1911年) |
|---|---|---|
| ピーターの性格 | 正義感が強く仲間想いな悪童 | 極めて利己的で冷酷、激しい忘却癖を持つ |
| 子どもの成長 | ネバーランドにいれば永遠に子どものまま | 自然に成長するため、掟違反として「間引かれる」 |
| フック船長像 | ワニを異常に恐れるコミカルな悪役 | 名門イートン校出身、気品(グッド・フォーム)を重んじる悲劇の男 |
| ティンカー・ベル | お茶目で少し嫉妬深い妖精 | ウェンディを平然と射殺させようとする凶暴性 |
原作におけるピーターは、敵の海賊だけでなく、時には気まぐれで仲間であるはずの少年たちを裏切り、殺傷することすら厭わない一面を持っています。子ども特有の「倫理観の欠如」を純粋培養した存在こそが、本来のピーター・パンなのです。