そもそも、なぜ単なるキーボードの乱れ打ちがここまで一字一句正確に共有され、「国民的ネットスラング」にまで昇華したのでしょうか。そのルーツは2003年の初夏に遡ります。
2003年5月17日に書き込まれた「奇跡の断末魔」
公式な記録およびネット史の検証データによると、この文字列が初めて世に出たのは2003年5月17日のことです。巨大匿名掲示板「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」の「なんでも実況J(なんJ)」板の前身やニュース系板、あるいは漫画・アニメ関連のスレッドにおいて、あるユーザーが以下のような書き込みを残しました。
「お前ら、ちょっといいこと思いついた。
キーボードのQとAに指を置いて、そのまま右にガーッとスライドさせてみろ。
qあwせdrftgyふじこlp」
この書き込みを見た当時の2ちゃんねらーたちが、こぞって自分のキーボードで同じ動作を試しました。すると、キーボードの構造上、誰がやっても後半に「ふじこ」という妙に人間味のある3文字が浮かび上がることが判明し、「本当だ、ふじこが出現した!」「断末魔の中に不二子がいるぞ」と爆発的な盛り上がりを見せたのです。
その後、この文字列は「衝撃的な展開を目撃して言葉にならないとき」「推しキャラが尊すぎて語彙力を失ったとき」「ホラーやハプニングでパニックに陥ったとき」の定型的な悲鳴表現として定着しました。特に『ルパン三世』の峰不二子や、漫画『ブラック・ジャック』のピノコが発する「アッチョンブリケ」のような感情爆発の記号として、アスキーアート(AA)とともに全盛期のネット空間を席巻したのです。