東京の伝統校にまで風評被害を及ぼす発端となったのは、2023年5月24日に福岡県柳川市のハリウッドワールド美容専門学校敷地内で発生したバーベキュー死傷事故です。1・2年生の親睦を目的とした学校行事のバーベキュー大会中、火力を強めようとコンロに消毒用アルコール(エタノール)を注いだことで爆発的な炎上(フラッシュファイア現象)が発生。男子生徒4人が全身などに重軽傷を負い、そのうち18歳の男子生徒1人が約2週間後の6月6日に多臓器不全および敗血症性ショックで死亡するという極めて凄惨な結果となりました。
事故当初、学校側の説明は二転三転し、責任の所在が曖昧なままでした。しかし、事故から約1年後の2024年7月4日、弁護士らで構成される第三者委員会が福岡県庁で記者会見を開き、決定的な事実を記した調査報告書を公表しました。西日本新聞などの報道各社が伝えた報告書の内容と、同日に行われた古賀英次理事長の謝罪会見は、世間にさらなる衝撃を与えました。
- 理事長自らによるアルコール使用の発案:調査報告書では、着火剤として手指消毒用の高濃度アルコールを使用することを古賀英次理事長自らが発案・指示していたと明確に認定されました。
- 安全管理体制の完全な欠如:現場の教員たちはアルコールの危険性を予見・制止することができず、消火器の事前配置や初期消火マニュアルも機能していませんでした。
- 7月4日の福岡県庁での謝罪会見:報告書公表を受け、福岡県庁で会見に臨んだ古賀英次理事長は深々と頭を下げて謝罪したものの、トップダウンの歪んだ組織風土に対する厳しい批判が集中しました。
消防庁や国民生活センターが長年警告してきた通り、燃焼中の炭に揮発性の高いアルコールを注ぐ行為は、目に見えにくい炎が一気に気化ガスへ引火し、容器ごと火炎放射器のように噴き出す「アルコール着火」の典型的な危険行為です。教育機関の最高責任者がそのリスクを軽視し、自ら危険物を持ち出すよう促していた事実は、学校のガバナンス不全を象徴するものとして重く受け止められています。