では、エンターテインメントや競技格闘技の現場で「環境利用」はどのように機能しているのでしょうか。最も親和性が高いのは、プロレスリングの興行です。
プロレスのリングにはロープ、ターンバックル、鉄柱、場外フェンスが存在し、これらはすべてレスラーにとっての「環境」となります。トップロープからのダイブ攻撃や、コーナーポストへの叩きつけ、さらには場外乱闘におけるパイプ椅子や机の活用(ハードコアマッチ)は、まさにガイアの戦術をエンターテインメントへと昇華させた形態と言えます。
一方で、UFCなどの総合格闘技(MMA)においては、ケージ(金網)を背負って相手のテイクダウンを防ぐ「ケージワーク」や、金網を蹴ってポジションを反転させる動きこそ見られるものの、目潰しや道着・異物の利用は厳格に反則負け(DQ)の対象となります。競技ルールという結界の中では「環境利用」は極度に制限され、純粋な身体能力と技術体系の勝負へと収斂していきます。ガイアの強さは、そうしたルールの枠組みを破壊する前提においてのみ絶対的な輝きを放ちます。