放牧(Pasturing / Grazing)の根本的な特徴は、管理主体である人間が完全に定住している点にあります。家畜を牛舎や豚舎の中に閉じ込めず、屋外の草地に放して草を食べさせる飼養技術全般を指します。
世界的な農業区分において、放牧は「企業的牧畜」と強く結びついています。アメリカ合衆国のグレートプレーンズ西側や、オーストラリアの内陸部、アルゼンチンの湿潤パンパ・乾燥パンパなどでは、有刺鉄線などのフェンスで区切られた数千〜数万ヘクタールに及ぶ広大な「牧場(Ranch)」の中で、少数のカウボーイや作業員が大量の肉牛や羊を放牧しています。
また、乳牛を育てて牛乳や乳製品を生産する酪農(Dairy farming)でも、運動や飼料摂取のために放牧が取り入れられます。ただし、酪農は市場近郊や冷涼な気候地帯(北西ヨーロッパや北海道など)で集約的に行われる傾向が強く、粗放的な企業的牧畜とは経営目的が明確に区別されます。