三賞は場所終了後に自動集計される機械的なスコアリングではなく、千秋楽の午前中に開催される「三賞選考委員会」の審議と記者投票によって決定されます。この会議には、日本相撲協会の審判部役員親方衆および大相撲担当の新聞・通信・テレビ各社の記者が出席します。
委員会の場では、すんなり満場一致で可決されるケースばかりではありません。14日目終了時点で勝ち越しが確定している力士に対しては無条件での受賞が決定することもありますが、激論の末に提示されるのが「千秋楽の取組に勝てば受賞」という条件付き内定です。
この条件が提示される背景には、いくつかの明確なパターンが存在します。
ひとつは、14日目終了時点で7勝7敗の力士です。千秋楽に勝利して勝ち越し(8勝7敗)を決めることが三賞授与の大前提となるため、審議で高評価を得ていても「千秋楽に勝って勝ち越せば」という条件が自動的に付与されます。
もうひとつは、すでに8勝や9勝を挙げているものの、賞の重みを持たせるために「二桁勝利(10勝)」を課されるケースです。特に敢闘賞の選考において頻繁に見られ、「平幕で10勝に乗せること」を選考委員が重視した場合に課されます。
千秋楽の支度部屋では、付け人や報道陣を通じてこの「条件」が力士本人に伝わります。自らの手で賞金200万円と歴史に刻まれる栄誉をもぎ取れるか否か、千秋楽の土俵際で見せる力士たちの凄まじい執念の裏には、この選考結果が密接に絡み合っています。