川口和秀氏の刺青は、昭和から平成の激動期を極道として駆け抜けた男の「覚悟」であり、22年以上におよぶ過酷な獄中生活を耐え忍んだ「矜持の証」でもありました。そして暴力団排除が進む現代社会においては、社会から排除される者の苦悩と人権のあり方を突きつける痛烈な記号でもありました。
組を解散し、禅の世界と交わりながら「生と死」を見つめる現在の彼の姿は、過去の墨を消すことではなく、それを背負い尽くして生きることの凄みを私たちに伝えています。川口氏の身体に刻まれた和彫りは、一人の人間が辿った波乱の人生そのものであり、移り変わる時代の中で決して色褪せることのない重い問いを投げかけ続けています。