ブルゾンちえみの名を一躍全国区へと押し上げたのは、2017年1月1日に放送された日本テレビ系『ぐるナイ!おもしろ荘 若手にチャンスを頂戴今年も誰か売れてSP』での優勝でした。後輩のお笑いコンビ「ブリリアン」(コージとダイキ)を従え、「ブルゾンちえみ with B」として披露したキャリアウーマンネタは、圧倒的な完成度とスタイリッシュな佇まいで視聴者の度肝を抜きました。
このネタの代名詞とも言える「地球上に男は何人いると思っているの?……35億。……あと5000万人」という決め台詞は、彼女自身の恋愛観と雑誌のコラムなどからインスピレーションを得て構築されたものです。失恋に悩む女性たちに向けて、上から目線でありながらも前向きな自己肯定感を促す独特の語り口は、従来の「自虐」をベースにすることが多かった女性芸人のステレオタイプを根本から覆す革新性を秘めていました。
ネタのBGMとして使用された米人気歌手オースティン・マホーン(Austin Mahone)の楽曲『Dirty Work』との親和性も、ブームを加速させた決定的な要素です。当時、日本国内ではまだ一部の洋楽ファンに留まっていた同曲ですが、ネタの振り付けと絶妙にシンクロしたことでビルボードジャパンのチャートを急上昇し、オースティン本人との日米コラボレーションが実現するまでの社会現象へと発展しました。